イミュテラスで取り扱っている自然栽培味噌の生産者、八ヶ岳南麓ファームの八巻さんは14年前から化学肥料や農薬を一切使わない「自然栽培法」で農業を営んでいます。
八ヶ岳南麓ファームは山梨県と長野県の県境ある八ヶ岳という山の標高500から1000メートルぐらいの地帯にあり、様々な農作物を生産していて、味噌の原料となる大豆や麹の元となるお米も自然栽培で作っています。麹がたっぷりと入ったうま味の深い味噌は2年仕込みでとても貴重な一品。そんなこだわりの詰まった貴重な味噌を生産されている八巻さんが昨年イミュテラス監修の山田シェフのお店「MOMINOKIHOUSE」のイベントに参加され、自然栽培を始めたきっかけや、その想いなどをお話ししてくださいました。

14年前、60歳を機に農家に転身

米糀のお米「亀の尾」の田んぼと八ヶ岳の美しく広がる風景

子どもの頃から農業が盛んな地で生まれ育ったこともあり、いずれ60歳で仕事をリタイアしたら農業をやろうということで決めてたんです。

なぜかと言いますと、当時、市町村に関わる仕事をやっている中で、山梨県に荒れ果てた地方がどんどん増えていき、土地がみるみるうちに山林に変わっていった様子を目の当たりにしたんです。その状況を知って、この土地の資産＝自然を生かすということが大事ではないかと思うようになりました。その資産を生かすために、農薬や化学肥料等、何も使わない農法はないのかと考えていました。そんな時に奇跡のリンゴで有名な木村秋則さんとの出会いがありました。

その出会いをきっかけに自然栽培という農法を知り、上手くいくかどうか分からない中で、本当に暗中模索の中から農業を始めたというのが実態です。

まずはやってみようと思い、化学肥料や農薬を使用しない自然栽培で作物を育ててみたところ、通常の農法に比べて、6割～7割方の作物が育ちました。そこから植物や動物、人間を含めて生命大樹というのは生きる力を自ら持っているということもわかってきました。

それは雑草などを見ればよくわかるんですけどね。雑草って毎年、毎年、根から根こそぎ取っても出てきますよね。山だって誰も手を入れてないのに、秋には広葉樹となり、冬になれば枯れて春には新緑がまばゆいばかりの美しい若葉を出します。こういう実態を改めて見てみると、「食物も自ら生きる力を持っている」と感じ、そこに人間がちょっと手を差し伸べてやることで、さらに生きるということが手助けできると思いました。

自然栽培への想いと今後の展望

私が農業を行っている八ヶ岳は湧水が沢山湧いてきます。この湧水から流れ出た水は田畑を潤し、いずれ駿河湾へとたどり着きます。そんな素晴らしい自然のサイクルの中で従来の農業のように除草剤や化学肥料を当たり前に使い続けてしまったら、汚染された水がどんどん海へ流れでてしまい悪影響を及ぼすことに繋がります。なんとしてもそれはくい止めたいと考え、私はあえて湧水に近い場所を選んで自然栽培を始めました。

我々人間も含め、植物や生物にとって一番重要なものは「太陽の光・水・土」この3要素です。自然界の資源だけをいただきながら作物を育てることに取り組むことで、人にも環境にも健康的で優しく、さらに生命力の強い本来の美味しさを味わうことが出来るのです。

自然栽培の農業をはじめて15年目になり、今では「自然栽培をやりたい」という研修生を受け入れ、若い農家さんの育成にも力を入れています。結局、一人で独りよがりでやっていても、自己満足になってしまうので、地域全体で取り組むことが大切だと感じています。

今はもう年齢も年齢なのでこの地域一帯に自然栽培で農業をする人間が増えていき、この地域で一つのブランドができればいいなと思っています。

自家製の自然栽培の米麹と煮大豆、塩を混ぜ合わせて作られる味噌

味噌玉作りもすべて手手作業で

自然栽培の食物を食卓に

私は世界各国を旅した経験がありますが、日本の風景、自然、環境そして食べ物は最高です。日本は国土の約70％が森林という自然が豊かな恵まれた国であり、その資産を大事に守ってこれからも生かしていきたいと思ってます。化学肥料や農薬を使い続けると、土の中の微生物も死んでしまい、いずれ砂漠化してしまいます。一度砂漠になってしまい、それをまた回復させようと思うと基本的には回復するまでに50年ほどかかといわれています。早くその状況に皆さんにも気づいていただき、なるべく自然の環境に負荷をかけないやり方で食べ物をつくり続けていきたいと思っています。

私の大きな夢は日本の国からの化学肥料除草剤をなくすことです。そして、少しでも多くの方に、環境の事や、自然栽培を知っていただきたいと思っています。食べ物というのは私たちの身体を作る基になっています。ぜひ毎食じゃなくても、1食でも良いので、自然栽培の食材を使った食事をしていただきたいと思います。

出来上がった熟成2年の旨味たっぷりな貴重な味噌

おわりに———
環境や食に対して現状を知ることの大切さと、知ったうえで私たちがどう行動していけばよいのかを考えるきっかけとなるとても貴重なお話でした。また、八巻さんの自然栽培、環境に対する熱い想いも知ることができ、八巻さんの作るお味噌の美味しさとその奥深さが生まれる秘密を知ることができたようにも感じました。自然栽培の食材を日常の中で取り入れることで私たちの身体は健康になり、農薬や化学肥料を使わないことで私たちの住む地の自然も守られていきます。是非皆様もイミュテラスを通して自然栽培のお食事をはじめてみてくださいね。

八巻さんの作る、2年熟成・自然栽培味噌はこちら

profile
八巻　珍男（やまき　よしお）
八ヶ岳南麓ファーム農場長。無農薬・無肥料の自然栽培で米、小麦、大豆、野菜50種類の農産物を栽培をしながら、栽培した大豆やお米で味噌等の加工品の製造・販売も行う。自然栽培実践スクールも展開。

イミュテラスアンバサダー：リナ（齊藤里奈）
ヨガ講師・マインドフルネス講師。イージーヨガクリスタルアンバサダー。イミュテラスアンバサダー。
NHK Eテレ「いないいないばあっ！」2代目お姉さん。
個々の特性に合わせたイシュタヨガの学びを軸に2012年よりヨガ講師として活動。NHKEテレで子供向け番組のお姉さんをしていた経験を活かしてベビー＆キッズから大人まで幅広い年代に向けたレッスンやイベントを開催。自己免疫疾患を患ったことをきっかけにヨガと合わせてマインドフルネスや体の内側からの健康を学び健康美容家としても活動。2019年に起業し企業向けの健康促進やストレスケアの研修等も監修。
Instagram：@rina.saito1003